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シンガポールにおけるカーボンプライシングの動向

2023年05月31日

【炭素税の導入】

シンガポールは、2019年1月1日に東南アジア諸国で初めてとなる炭素税を導入しています。現在のところ、直接排出量で年間25,000tCO2e以上の産業施設が対象であり、製造業、電力会社、廃棄物処理事業者、水道分野のおよそ50施設となっています。

初期の5年間(2019年〜2023年)の炭素税水準は5シンガポールドル/tCO2eに設定されています。シンガポールの排出削減目標であるネットゼロに向け、炭素税価格は今後段階的に引き上げられる予定であり、2024年と2025年に25シンガポールドル/tCO2e、2026年と2027年には45シンガポールドル/tCO2e、2030年までに50~80シンガポールドル/tCO2eに増加させることを目指しています。

シンガポール政府の狙いは、国の気候変動対策の目標に沿って、企業や個人によるGHG排出削減を後押しするため、価格シグナルを発信することです。


(出所:シンガポールNational Climate Change Secretariatウェブサイト)

シンガポール政府は、炭素税収については、脱炭素化への取り組みやグリーンエコノミーへの移行の支援に用い、企業や家計へのインパクトを和らげるために活用することとしています。

また、企業は、高品質な国際カーボンクレジットを利用することが認められる見込みです。2024 年から、課税対象排出量の最大 5% をこの国際炭素クレジットを用いてオフセットできるとされています。当該地域のカーボンクレジット需要の創出に役立ち、高品質なカーボンクレジットの提供、機能的で管理されたカーボンマーケットの発展促進も期待されています。炭素税の制度下で使用されるすべての国際カーボンクレジットは、環境十全性が高く、パリ協定第 6 条に準拠していることを保証するために、一連の適格基準を遵守する必要があるとされています。

シンガポール国全体でのGHG排出量自体は、およそ5,000万tCO2eと大きな値ではありませんが、世界全体が脱炭素へ向かって大きく変化する中、グリーンエコノミーやカーボンクレジットの取引の中心となるべく、いち早く政策を打ち出しているようです。

アジア各国も先進諸国に劣らず、脱炭素に向けた国家戦略を公表しており、いわゆるグリーンマネーがシンガポールにも集まってきています。KOEでは、シンガポールのパートナーとともにアンテナを張り、引き続き有益な情報をご提供してまいります。

*このブログ記事は、超え環境ビジネスとグローカルリンクの共同執筆です。

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