コロナ禍が続き、2年半ほど海外渡航が出来ませんでしたが、先月ようやく海外に出張してきました。外部人材としてJICAの実証事業のサポートしており、短期間でしたがベトナム・ハノイに行って参りました。
このプロジェクトは、再生可能エネルギー事業に力を入れているトーヨーグループ(https://toyo-group.com/)様が企画し、JICAの普及・実証・ビジネス化事業として2019年に採択されたものです。弊社は外部人材として、事業全般のサポートをしております。
プロジェクトの目的は、ベトナムでの廃棄物の適切な処理と有効活用で、中でも有機系廃棄物に着目した活動です。有機系廃棄物は、家庭などから排出される一般ゴミにも含まれていますが、家畜糞尿や食品工場などからも多く排出されています。これらの有機系廃棄物は、炭素を多く含んでおり、微生物によって嫌気性発酵させると、メタンガスを発生させることができるため、発電などのエネルギーに利用できます。さらに、発酵した後に残る“発酵残さ”は、固液分離して液体部分は有機の液体肥料に、固体部分は乾燥後に有機堆肥にすることができます。
ベトナムでは廃棄物はそのまま放置されたり、回収されても単に埋め立てられたりしており、今回のプロジェクトで廃棄物の有効活用を実証し、全土に広められればと考えています。プロジェクトの概要については、以下のウェブサイトでも公開されています。
「ベトナム国 一般廃棄物を用いたメタン発酵発電及び有機肥料生成の普及・実証・ビジネス化事業」
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/1198/Fc191025_summary.pdf
ベトナムにおいて、廃棄物から作られた有機肥料を普及させるためには、まずその成分がどのようなものになるのか明らかにし、また、ベトナムで栽培されている作物のどれと相性が良いのか、検証することが必要です。そのため、本プロジェクトでは、ベトナム国家農業大学がパートナーとなって、共同で実証を行う予定です。
ベトナム国家農業大学は、その名の通り、農業と農村開発における人材育成と科学研究を担う国立大学で、日本の主要な大学とも提携して研究を行っています。現在の学生数は20,000人以上とのことですが、広大な敷地を持ち、キャンパスの中央にある蓮の池では、開花シーズンに蓮の花がとても綺麗に咲きほこります(https://eng.vnua.edu.vn/)。
今回の出張では、関係機関と今後の進め方やスケジュールについてミーティングを行いましたが、その合間を縫って、ハノイ市内の有機野菜販売店を何店舗か見て回りました。
その一つがDALAT MARTです。
DALAT MARTの店舗外観と入口
DALAT MARTの店内の様子
案内してくれた通訳のハインさんによると、有機野菜は一般の野菜に比べて、2〜3倍の価格で販売されているそうですが、ハノイ市内にはこのような有機野菜を販売する店が比較的多くあり、中級層以上の家庭では、健康志向の高まりを受けて、よく買われているとのことです。
ただ、ここ1〜2年はコロナの影響で、店舗が倒産したり、収入減になった家庭も多く、若干品物が減っているようです。DALAT MARTのほか、SOI BIENやBAT COMといったチェーン店でも同じように、有機野菜や低農薬野菜が売られており、身近な商品となっています。
SOI BIENの仕入野菜の栽培地を示した地図と有機栽培のみかん
コロナ禍が収まり経済状況が回復すれば、有機野菜の需要もさらに高まりそうです。私たちのプロジェクトもベトナムの健全な発展に貢献できるように進めて参ります。